このわかりやすい名前で私たちのNPO「政策21」が目ざしたのは、岩手県をはじめとする地方の政策活動支援でした。ただし、地方分権改革と中央省庁改革を経験した私たちは、この支援をちょっと違った形で考えていました。一般に考えられるNPO活動とは、自分たちが自ら現場で汗をかく地域貢献活動です。しかし、私たちが目ざしたのは「政策シンクタンク」としての支援活動です。それは地域で暮らす人びとの視線で政策を見直すことで、ここから「政策21」のミッションに「政策評価」が登場したのです。
ふりかえれば20世紀は、中央が開発政策を決め、それをトップダウンで実施してきた時代でした。しかし、経済成長の恩恵は広大な面積を持つ地域、豪雪被害や自然災害が繰り返される地域、中央から遠く離れた地域には届きにくかったので、成長を見ずに疲弊する地域もありました。トップダウンの成長戦略には限界があったのです。それでも、地方にはまだまだ中央の豊かさに期待する人が多く、また財源に限りがある地方自治体が独自戦略を考えるのは難しく、政策づくりは簡単ではありませんでした。地方自治体の舵取りには工夫が必要だったのです。
ここに登場したのが「政策」への注目でした。20世紀末、岩手県をはじめ全国各地で政策が名前に付く学部・大学院が登場した背景には、独自の舵取りへの期待があったと思います。もちろん、地方分権改革の目的だった地方自治とは地方が自ら政策を考えることで、それはまず地域で暮らす人が自分の目で政策を見直す活動からはじまります。これを意識して「政策21」はそのミッションに政策評価を取り上げたのです。
ミッションを遂行する上で、私たちが第一に心がけたのは、「協働」(collaboration)です。限りある資源を活用するには、人びとが共に手を携え、互いに協力しながら知恵を出し合う姿勢、共に地域の未来を語る場が必要です。「エンパワーメント」(empowerment)とはこうした現場での交流を意味する言葉で、専門知を持つ人たち、経験知や実践知持つ人たちが、おたがいにコラボレーションしながら成長するプロセスを大事にする言葉です。「政策21」が政策評価をミッションにしたのは、それが協働とエンパワーメントの場になるからです。
「政策21」は、協働とエンパワーメントの政策評価を通じて地域支援活動を行う、政策シンクタンクです。