(イ)行政とのパートナーシップに一番大切なことは?
(鎌)まず行政の方々にお願いしたいのが、NPOをコストダウンの手段として見てほしくないということです。私達を安価なコンサルタントと捉えてしまうと、行政側の当事者意識が薄くなり、協働のメリットがなくなります。政策評価に大切なのは、評価システムの構築段階から私どもと積極的な意見交換を行い、組織の中に評価スキルの浸透と習熟を図ることです。試行錯誤や事例研究のプロセスが一番大切なんです。
(イ)「政策21」では、専門知識を提供するだけでなく、一緒に考えることで、そのノウハウを委託先に移転していくということも想定されているんですね。
(鎌)そうです。さらに、行政の方々が自らノウハウを作り出せるような意識や考え方が伝えられたらいいですね。これまでいくつか評価システムの支援をさせていただいていますが、一緒にやっていくという意識を持っていただければ、行政側の皆さんにも必ず伝わっていくと実感しています。
(イ)確かに政策評価の方法論は多岐に亘るので悩みますが、結局、外部のノウハウを取り入れながら、自分達にあった方法論を考え続けなければならないんですね。
(鎌)そう思います。また、行政の担当者は異動が多いことがかなり大きなネックになっています。評価担当者同士、あるいは評価担当者と研究者など、人的なネットワークはすぐにはできないと思うんです。私達は、評価専門で継続して事業をしていますから、評価関係者の情報が構築されています。どこの誰がどんな人か、何が専門なのか、承知していますから、そういった点からもサポートができると思うんです。
(イ)地元だけではなく、全国的な人的ネットワークがプールできているということですね。
(鎌)私達のこのようなノウハウを大いに活用していただきたいですね。
(イ)行政とのパートナーシップに必要なものは何だと思われますか?
(鎌)受託関係を越えた信頼関係を構築することだと思います。お互いの立場を越えて、同じ目的を達成するための「同志」になれるかどうかが評価システムの導入や運用の成否に直接関わってくる。
(イ)さまざまな行政との協働を通じて、行政へのご意見はありますか?
(鎌)予算査定の関係が大きく影響しているのかもしれませんが、ほとんどの事業が「事業実施すればオッケー」のように単発的で、評価を基にした意思決定がおこなわれていないことが残念です。
(イ)「その事業を実施した」という事実ではなく、その事業が地域に何を残したのか、残せるのかを、私達行政側は考えていかなければならないということですね。今日はありがとうございました。